Software Eats Everything 2020 1 26

「塗炭の苦しみ」
 これは、私の親戚から聞いた話ですが、
知人は、「Windows」が変わるたびに、
パソコンを最新型にしたそうです。
 たとえば、「Windows 3.1」から「Windows 95」に変わる時、
「Windows 95」から「Windows 98」に変わる時に、
最新型のパソコンに買い替えたそうです。
 パソコンは、大手メーカーの最新鋭のものでしたので、
価格は30万円以上になったそうです。
 その人は、パソコンを買い替える資金の捻出に苦労して、
夫婦喧嘩までしたそうです。
 しかし、その人が「Microsoft」の株主だったら、
あるいは、「Google」の株主だったら、資金には困らなかったでしょう。
 MicrosoftもGoogleも、株価が10倍以上、
一説には、100倍になったと言われます。
 もちろん、当時は、日本人は米国株を買うことはできませんでしたので、
これは、あくまでも架空の話です。
 では、その人は、パソコンメーカーである、
「NEC」や「富士通」の株を買えばよかったのか。
 実は、そういう企業の株価は、全盛期の半分以下になったと聞いたことがあります。
これは、決して「NEC」や「富士通」が怠けていたわけではありません。
両社ともに、世界トップレベルの製品を作り続けています。
 しかし、「Software Eats Hardware」という時代の趨勢には勝てなかったのです。
どんなに世界一のパソコンを作っても、
ソフトウェアのMicrosoftやGoogleには勝てなかったのです。
 この30年間、「ものづくり大国」の日本は、
そして、私たち日本人は、
塗炭の苦しみを味わうことになりました。
つまり、私たち日本人は、お金を失い、生活が苦しくなりました。
もちろん、製造業に従事するアメリカ人も生活が苦しくなりました。
 しかし、ソフトウェア産業を責めることはできません。
次の30年間は、「Software Eats Hardware」どころか、
「Software Eats Everything」となるからです。
 もちろん、日本人だって、
優れたソフトウェア技術者は多かったのです。
日本でも、Googleのような検索エンジンを作ったと聞いたことがあります。
 しかし、日本では、ソフトウェアは、
ハードウェアの「オマケ」のような存在であるという固定観念が、
日本をソフトウェア大国にするのを妨げてしまったのです。
「May I dream ?」
 いつまで、塗炭の苦しみは続くのか。
若者や子供たちから天才プログラマーが出現する夢を見ます。
周回遅れだった日本のAIが、世界のトップランナーとなる日が来るのです。
(注)
 忘れてはいけないのが、中国には、アメリカと似たようなIT企業があります。
アメリカが発展をやめれば、世界の覇権は、中国に移ります。
だからこそ、アメリカのIT企業は、競走馬のように、ひたすら走るしかありません。

PCと車 2020 1 19
 昔話をしましょう。
1980年代の後半において、
NEC(日本電気)は、コンピューター業界において、
日本どころか、世界においても存在感がありました。
パソコン業界においては、王者と言えたでしょう。
 当時のパソコンといえば、NECのPC98シリーズでした。
PC98シリーズの市場シェアは、9割を超えていたと思います。
 そのため、ソフトウェア業者は、
PC98仕様でソフトウェアを開発していたのです。
 しかし、風向きが変わるのは、
「Windows」というOSの登場です。
 Windowsが動けば、
パソコンというハードウェアは、
どこのメーカーでもよいということになったのです。
ソフトウェアは、Windows上で動くからです。
 こうなると、中小のメーカーでも、
パソコンというハードウェア市場に参入できて、
実際に、中小業者が大手企業になった事例があります。
 Windowsという共通の土台を作った結果、
パソコン業界は、劇的な変化がありました。
 そもそも、パソコンという規格を考えた「IBM」が、
パソコン業界から撤退するという衝撃的なニュースもありました。
 Windowsという共通の土台がなかった時代は、
ソフトウェアは、ハードウェアのオマケという存在だったのです。
つまり、ハードウェアメーカーが主役、ソフトウェア業者は脇役だったのです。
今や、その立場は逆転して、ハードウェアメーカーは従属的な存在になりました。
 さて、自動車業界も、その可能性があります。
自動運転ソフトウェアが、「Windows」のような存在になれば、
自動車メーカーは、従属的な存在になります。
つまり、自動車業界における「マイクロソフト」が出現するでしょう。
























































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